第3章 少子化・年金問題はこうやって解決する

3−7 精神的虐待こそ防止せよ

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 虐待というと、暴行やネグレクトばかりがクローズアップされるが、精神的虐待も重大である。
親が神経症(ノイローゼ)の傾向を持っていると、それが子供に伝染する可能性がある、特に受験期は注意が必要である。 私が学生の頃は、母親の過干渉が原因で、強迫神経症という一種のノイローゼになっていたが、そういう場合も「国家が子供を養う制度」であれば、引き離す事が容易になる。
 強迫神経症は、日常生活や勉強に支障を生じさせるだけでなく、さらに「性的強迫観念」となって私を苦しめていた。 私の母親の場合、あくまでも病気であり、いわゆる悪意を持った虐待というわけではないのだが、ただ母親も私も異常に神経質なところがあって、一緒に暮らしていると周波が合ってしまい共鳴現象を起こす。 母親と一緒にいると母親のノイローゼが私に伝染するわけである。
医者にも相談したが―――けっきょく母親に支配されている限り、いつまで経っても自分の病気は治らない―――それが分かったので大学進学をあきらめ自立を選ぶことにした。
 そもそも肉体的虐待だけでなく精神的虐待も、さらにはノイローゼの伝染現象まで、すべてを児童相談所が審査し、認定する事は可能だろうか? 「審査・認定にカネと時間をかける」よりも子供に好きに選ばせた方が安上がりである。 「子供が保護者を選択する」とはそういう事である。
「子供が保護者を選択する」これを可能にするのが「子供限定ベーシックインカム」である。
大人のベーシックインカムは何かと問題が多く私は反対なのだが、子供限定ベーシックインカムは充分に実現可能であり有用である。

ベーシックインカムとは、政府が「いちいち審査することなく」すべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を、無条件に支給する制度である。
生活保護と違って「審査・認定にカネと時間をかける」必要がないため、手続きを簡素化・合理化できるメリットもあるが問題点もある。 これはむしろ子供にこそ有用な制度であるにもかかわらず「大人のベーシックインカム」を主張する者ばかりで「子供限定ベーシックインカム」を主張する者はいない。

子供ホームは「可哀想な貧困・被虐待児が行く所」という、そのような決めつけ自体も、もはや時代遅れで差別的である。 たとえ子供に罪はないにしても「その子たちだけを」「特別に税金で養う」となると、やはり納税者から反発が出る。


そもそも「納税者の反発を無視して子供の貧困問題の解決はない」と私は考える。 納税者の反発には充分配慮すべきである。 さもなくば反発を利用して行政の無策が続行される結果となる(2−14 大奥の原理)。

「例外的」「社会のお荷物扱い」も、また差別・虐待を生み出す。
やるならすべての子供を対象に「ベーシックに」「国家が子供を養う」ようにすべきなのだ。
 さらに「子供の自立」という観点からも、私はむしろ多くの子供が、親元を離れ「子供ホーム」に移行する事を勧める。 単に「親とソリが合わない」だけの理由で子供ホームに入っても良いのだ。
「親と喧嘩して家出」でもよい。 悪い大人にだまされるよりは、はるかに良い事である。
さらに「子供ホーム」も子供自身が選べるようにする。 そうすれば競争原理が働き「子供ホーム」内における虐待や管理教育も防げる。 要は「子供が親権を選択できるかどうか」「自由競争が働いているか」がミソ、核心であって、別に体罰を禁止する必要はない。

「国家が子供を養う」なんて言うと、それこそ社会主義的なバラマキ論と誤解されやすいが、私の主張はあくまでも、自由競争・市場原理を推進する立場からの主張である。

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